蒲谷敏彦KOREA REPORT  11月号

KOREA REPORT (11月号)
−−−イスラム料理とイチョウと聖歌隊と...−−−

 刑務所は怖いところだと思っていたけど、本当に怖い
所だったんですね。
先月は最低気温が零下ギリギリの辺をウロウロしていたら、
今月になって一気にマイナス5℃とかになってしまいました。
日本の今年の冬も早いらしく、あちこちで初雪の便りが聞こえる
今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
お久し振り?にKOREA REPORTをお送りします。


深秋の北漢山中門

 知人のパキスタン人ラナさんは、イーテウォン(梨泰院;米軍基地
の近くの町で外人観光客に人気の通り。客引きのお兄さんが、
『完璧な偽物あるよ!』とか、『まぼろしの時計はどうですか?』
と、声をかけてきます。)に程近いお店でペルシャ絨毯を売っています。
近頃、イスラム料理レストランも始めたそうでどんな味か興味津々
出かけてきました。

イスラム料理といえば、シシカバブーくらいしか思い浮かびませんが、
サラダから始まったディナーは、大きい春巻きのようなスモッサ、
鶏肉スパイス焼きタンドリーチキン、羊肉の煮込みムトゥン・ジョイン、
インドカレーに付いてくるパンと似ているナムとライス。
仕上げはミルクがねっとりのパキスタン伝統ミルクティーでした。

なかなか健康的なスパイシーな料理とお見受けしましたが、
なにせ健康的すぎて、アルコールはダメ(イスラム教は禁酒)
なのでジンジャーエールと一緒に食べるタンドリーチキンは
東京ディズニーランドのノリです。
もちろん、キムチもカクテギ(大根キムチ)も付いてきません。
酒とキムチが大好きな韓国人のお客には無理があるんじゃないの?

イラク攻撃も他人事でなく、少し元気がないラナさんのお店、
もう1回食べに行くまで潰れないでネと祈るばかりでした。

 秋も秋、限りなく冬に近い秋。街の街路樹も黄色や紅色になりました。
とっておきの銀杏並木があるというので、見物に出かけましたが、
なんと大統領府・青瓦台の前の通りでした。
『どちらへ行かれますか?』
スーツ姿のSPが声をかけてきます。イチョウを見に行くんだと
言うと、こちらへどうぞと青瓦台とは反対側の歩道へ誘導します。
近づくなということらしいです。


迎賓館前の衛兵付信号機

迎賓館の前には北朝鮮か中国かという、珍しい信号機がありました。
衛兵が立っているボックスの上に信号灯が付いています。
これって相当珍しいと思うんですが、どうでしょう?
恐るべし中国人観光団一行がしきりに記念写真を撮っています。

『ここで写真を撮ってはダメです。あちらでどうぞ』
とても綺麗な銀杏並木にカメラを向けると、とても綺麗な女性警官に
注意されてしまいました。
どうも、この青瓦台前通りは指定場所以外は撮影禁止のようです。
ソウル・オリンピックの2年前、初めて出張でソウルを訪れた時、
地下鉄構内、南山の山頂から、飛行機からの景色、全て撮影禁止でした。
恐る恐る、帰りの大韓航空機の窓からソウル市内を撮ったことを
思い出しました。今はどこだって観光客が記念撮影していますから、
ここはずいぶん珍しい。

1968年青瓦台の裏まで北朝鮮の武装ゲリラが入り込んで来て、大銃撃戦と
なりました。大事無く撃退はしましたが、警備担当関係者は大失態の責任を
取らされ更迭されたと聞きます。(まあ当然でしょうね)
ということで、韓国内でもまだ一番ピリピリしているところです。
(市販の地図には青瓦台は載っていないし、上空は飛行禁止だそうです)
しかし!ここは撮影OKという青瓦台をバックに写真を二人で交替に撮って
いて、目があったSPにカメラのシャッターを押してくれと言うと、にこやかに
応じてくれました。変われば変わるものです。

そういえば昔、キョンボックン(景福宮;青瓦台のすぐ南、韓国人恩讐の
朝鮮総督府があったが6年前に完全に撤去された)周辺の警備は厳つい
制服姿でしたが、今やジーンズにジャンバーの私服姿になりました。
(2人組で手に大きなトランシーバーを持っているので、警備担当とすぐ
わかるけど)観光客配慮のにこやかな警備が続くことを祈りました。

  天安工場からの帰り、社用車が144,444km(韓国でも4は死(サ)と発音

が同じで忌み嫌われる。ビルの4階はなかったり、F階と表示されたりする。)

を無事通過した(韓国の車も良くなりました。20万kmまで充分動きます。)


夜、逆留学生のボミ(KOREA REPORT 4月号 ボミ&マキコ参照)さんの紹介でプロテスタント教会女性合唱団のコンサートに出かけてきました。
ボミさんの友人のヘリムさんは、梨花女子大の1年生。お父さんのお仕事で
米国ボストンで6年生活した帰国子女です。お母さんは教会の女性合唱団に
所属しています。ということで、お母さんの晴れ舞台を観に行きました。

ママさんコーラスを想像していたのですが、なんとなんと玄人裸足。
大本格的です。
聖歌といえば、アメ
ジング・グレースくらいしか知らないんですが、
なかなか聞けました。でももっとすごかったのは、特別出演の
ヨンムン高等学校の男性合唱団のコーラスでした。合唱版ウォーター・ボーイズ
(この映画観られましたか? この夏韓国でも上映されて若い女性に
大受けでした。男子高校生が不純な動機からシンクロナイズド・スイミング
を始めるのですが、竹中直人のいい加減なコーチを受けたりしながら、
本気で感動的なシンクロを披露するお話。韓国でもキウォオー(かわいい)
の大合唱でした)でした。

40人の男子学生が白のそろいのスーツに黒のネクタイ姿で、
ニュージーランド民謡を踊りながら歌うのですが、NZのラクビーチーム、
オールブラックスの試合前に披露する威嚇の踊りとハワイアンの合いのこ
のようなユーモラスな踊りは最高でした。(もちろん歌声も)
あぁーもう一度観たい、聞きたい。
ヨンムン高等学校男性合唱団の追っかけになりそう。

『あなたの宗教は何ですか? はぁ、仏教は宗教じゃないです。哲学です。
仏陀は神様じゃなくて、人間でしょ』
コンサートが終わって、ヘリムさんのお母さん達と一緒にお茶したんですが、
いきなり宗教談議になりました。弱いんだなぁ、こういうの日本人は。
(そういうキリスト教のカソリックは神父さんで結婚は出来ないがお酒と
タバコはOK。プロテスタントでは牧師さんで結婚はできるが酒タバコは禁止。
って知ってました? さあ、あなたならどっちを選ぶ?)
ほうほうの態で話にケリをつけ、またの再会を祈るのでした。アーメン

今月も夜が更けてまいりました。それではまた、来月お話しましょう。
             ソウルより 蒲谷敏彦



おまけ;ポン菓子って何?

先月、紅葉狩り(韓国ではタンプンノリ(紅葉遊び)といいます)にプッカンサン
(北漢山;ソウルの北にある連峰、ソウル市民の富士山のよう)に出かけましたが、
そこで写真のような菓子を売っているのに遭遇しました。懐かしい!
ポンといって大きな音と煙と共にお米がスカスカのせんべいのようなお菓子に
なります。(14枚で1000W(約100円)) これってポン菓子っていうんですか?
韓国でもポンティギ(ポン菓子)っていうし、中国でも同じものがあると聞きました。
どこが発祥の地なんでしょうね?
誰か知っている人がいたら、教えてください。

ソウルより 蒲谷 


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