蒲谷敏彦KOREA REPORT  2月号  

KOREA REPORT (2月号)

ソウルな女性達 第4話

――― N夫人と子供達 ―――

 

 ソウルでは立春も過ぎ、日に日に暖かくなってきました。地下鉄車両の座席の下からの暖房も外気温がマイナスのうちは、救われるような暖かさでしたが、昨日からプラスになったとたん、うっとおしい暑さに変わりました。これから日本と同じように、雨水、啓蟄と確実に春が近づいてきます。

皆様インフルエンザにも負けずお元気にお過ごしでしょうか? 

 

『もう、買われましたか?』

先週は人と会えば、こんな挨拶が流行っていました。ロト6の宝くじがここ数回当選者が出なくて、賞金がとうとう700億W(約70億円)にまで吊り上ってしまったのです。この宝くじは1から45まで数字のうち、任意に6個を選んでマークシートに記入します。1投票が2000W(約200円)。普通5投票でシート1枚ですから、1万W分を買うようです。(そういう私も買ってみました)

 



ロト6の投票用紙 AからEまでで5投票、1万W


土曜日の夜、SBS放送でその宝くじの当選番号抽選の実況中継があり、大フィーバーでした。韓国人は統計好きで1等の当たる確率は814万分の1。飛行機事故の確率が75万分の1、交通事故で重症になる確率が30万分の1、ゴルフのホールインワンが2万分の1で、いかに大変な確率かが証明されるという。まあ、当たれば確率も何も無いことですし、当たらなければ0です。特機事業部の河部長は700億Wが当たったら江南のビルを買うというし、天安工場の南理事は黙ってそのまま当社で働くと言っていました。私は当たったら、皆に1億Wづつお裾分けしましょうと言っておきました。(さあどうなったか)

 

 今月のKOREA REPORTもソウルな女性達をお届けしましょう。第1話のマキコさんは、ソウル留学も終了し無事松山に帰られました。これから就職戦線真っ只中です。ボミさんは冬休みで京都ですが、ニュージーランド留学を目指しているそうです。第3話のサトミさんは米軍勤務のご主人がなにかと出張でお忙しく、ソウルで寂しくされているそうです。(これは少し怖い感じ)

 

さて、第2話のユウコさんはお嬢さんのユナちゃんが先日1歳の誕生日を迎えられました。韓国では生まれて100日目と1歳の誕生日を盛大にお祝いします。昔は生まれてすぐ亡くなることが多く、無事に1歳を迎えることは本当にめでたいことだったのでしょう。トル・チャンチ、チョッ・トル(トルは1周期、チャンチは宴会、チョッは初めての意味で、とにかく1歳のお祝い)といって、親族、友人をご招待して近頃は結婚式並みの宴会をするようです。

 

明洞のホテルのビュフェ式レストランで行われた崔家のトル・チャンチ会場に入ると、黒スーツの旦那さんと緑と赤のチマチョゴリを纏ったユウコさん、小さなチマチョゴリ姿のユナちゃんがいました。旦那さんは明洞の街頭販売の稼ぎ頭ですから、同業者の人が沢山お祝いに来られているようです。舅、姑さんの姿も見えます。(お祝い客はトル・バンジと呼ばれる赤ちゃん用の金の指輪を贈ります。普通重さ1匁(3.75)6Wくらい(今金の値段が上がっている。戦争が近いから?)です。)


2度目のケーキ入刀 今度は3人で

お父さんお母さんの挨拶の後、トル・チャビというメインイベントがあります。これは、1歳のユナにお金、鉛筆、糸などを見せてどれを取るかというゲームで、彼女が大きくなって裕福(お金)になるのか、勉強(鉛筆)が良くできるのか、長寿()になるのかを占うんだそうです。周りの人はお金を取るように1万W札をひらひらさせるのですが、彼女は迷わず鉛筆を取りました。司会の人がソウル大学入学ですと言っています。昔はお米や弓、筆などが用意されたそうですが、最近はパソコンのマウスや歯ブラシ(歯医者にしたいらしい)なども用意されるそうです。親の欲もいろいろです。20年後には大学生になったユナに会いたいものです。2023年、ユナは21歳、私は70前。ひぇ〜

 翌日の土曜日の夕方、我が家に可愛い訪問者がありました。N夫人と2人の息子さんです。N夫人のご主人はスポーツ面の新聞記者をされていて、一昨年の春にサッカーW杯の取材でソウル特派員になられました。その後W杯が閉幕するやいなや、日本に永久帰国することになったのですが...

家族会議が開かれ、幼稚園年長さんのタケル君が目に涙を溜めて、

『ここにいたい!(今まで3回幼稚園変わったけど、今度だけはこのままソウルで卒業したい)』

と訴えたそうです。新聞記者さんも転勤が多くて、N夫人はご結婚されて7回引っ越されたそうです。子供心にも度々の転校は辛かったんでしょうね。そして、1歳年下のサトル君とN夫人と共に3人はソウルに残ることになったのでした。お父さんは東京勤務の逆単身赴任になりました。でも、釜山アジア大会ではまた韓国に取材に来られたそうですが。

 




サトルとタケルとN夫人


そんな家族別れ別れも今月まで。タケル君はこちらの幼稚園を卒園し、4月からは横浜の小学校に入学です。2月下旬にはソウルを後にするので、今日はお別れに来てくれたのでした。それも、先日あった幼稚園の仮装パーティーのコスチュームを着て。(タケル君は忍者、サトル君は海賊姿で)


タケル君は青森県から鹿児島県まで漢字で書けます。(実際に北から南まで全県書いてくれました。石川と富山は簡単、栃木と茨木はどう書くのと問われて、どうだったかなぁ?と答えるオジでした。北海道と沖縄県は教えました。愛媛の愛という字は難しいというコメントには、哲学を感じたなぁ)判らない字は辞書で引くことも出来るのには、びっくりしてしまいました。私は同じ年頃には日本国の認識さえなかったように思いますが、これでは確かに日本の6・3制の小中義務教育内容も大幅に考え直す必要があるかも知れません。


弟のサトル君は体育会系のようで、広島風お好み焼きを作っている時も食べている時も刀を振り回したり、私に高い高いをおねだりしたり、と体を動かし続けていました。(幼稚園でも独自の踊りと歌で人気者のようです)

タケル君はカル・ククス(韓国の手打ちうどん)が好き、サトル君はトク()が好き。ヨギヨ、ムル ジュセヨ(ここ、水ください)と食堂でおばさんに上手に言えるようになりました。

 

N夫人は独身時代にはヨーロッパ、中国などにバック・パッカー旅行をされた活発なご婦人で、ご主人ともそんな旅の空の下で出会ったそうです。そんなことで、普通1年くらいの海外駐在には奥さんは同行しないんだそうですが、N夫人は韓国を見たい知りたい、歩きたいと押しかけて来られたようです。そして、語学学校に通ったり、韓国料理教室に参加したり、ご主人より長く深くソウル生活を楽しまれたのでした。

 

ソウルな女性達も帰国される方が多いので寂しくなりますが、とあるインターネットで日韓国際結婚の・・・というホームページを見つけました。韓国にお嫁入りした日本人女性の集まりみたいで、ユナちゃんのトル・チャンチ・パーティーにも3・4人来られていました。それが皆様とてもお綺麗で、日本美人海外流出が懸念されるところです。

などとつまらない心配をしながら今回はここまで。

次回またお話しましょう。

 

              ソウルより 蒲谷敏彦

 

 

おまけ;旧正月休みに南国マレーシアに避寒に行きました。ホテルの部屋にNew Straits Timesという国内最大手の英字新聞が配られます。無理やり訳すと新海峡新聞というところですが、旧正月の朝にちょっとビックリする写真が掲載されていました。



       北京のお寺でチャイニーズ・ニュー・イヤー

前夜祭のヘビ・パフォーマンスを見せる中国人女性

またまた、恐るべし中国という感じでしたが、この写真の横の記事は、冷血な日本人妻が保険金目当てで、主人と子供を海に突き落として殺したという事件の裁判があった(東京発)というものでした。こちらの方が恐ろしい?!


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