蒲谷敏彦KOREA REPORT 8月号  

KOREA REPORT (8月号)

―― 明解アダルトな韓国ドラマ (後編) ――

 

 辞書で雨季を引いてみると、

『ほぼ、毎年みられる雨量の多い季節。熱帯地方では年に2回あり、地中海沿岸では冬、日本では六〜七月の梅雨期の頃を言う。rainy season     講談社;日本語大辞典より』

とあるが、ソウルに雨季はあったのだろうか? 今年は8月になってほとんど毎日雨でした。それも熱帯雨林のスコールはこうかと思わせる、白く煙る激しい雨が降り続きました。この土曜日、日曜日も一日中雨なので、二人とも高層アパートから一歩も出ないで晴耕雨読です。冷蔵庫の中の食料も少なくなってきて、

『今晩のご飯何にする? 何もないけど』

と家内が言っています。

ホントに今年の夏の天候は変ですね。日本はいかがですか?

 


今年の北朝鮮・美女応援団は踊る松島とも子 (中央日報より)

 

 さて、今年もやって来ました『北朝鮮・美女応援団』。ユニバーシアード大邱大会が822日から始まりましたが、彼女達の挙動が興味深く報道されています。昨年の釜山アジア大会(KOREA REPORT 200210月号参照)では、貨客船万景峰(マンギョンボウ)号に宿泊していましたが、今年は大邱銀行の研修所だそうで、またまた取材陣が大挙押し寄せているようです。万景峰号の方は、新潟に来港するそうでこちらもマスコミ報道で賑やかなことでしょう。

 

美女応援団のメンバーも昨年とは替わっているとのことで、わざわざ釜山から昨年のメンバーに会いに来た人もガッカリして帰って往ったそうです。私も昨年注目していた、『踊る3人娘』もいないようですが、その代わり首をライオンに(ヒョウにも)噛まれたという『踊る松島とも子』を見つけました。

 

ところで、韓国TVドラマの続きです。日本のBSで放送中の『冬のソナタ』は残り2回になりました。高校時代の初恋の男性チュンサンは交通事故で亡くなっていたと思ったら、実は生きていて記憶喪失のまま10年後米国から帰って来た。奇しくも再会したユジンは冬のスキー場のホテル改築を一緒にしながら、彼に再び恋をする。彼はもう一度交通事故に遭い、そして記憶を取り戻す。二人は結婚の誓いをたてるが、今度は二人が腹違いの兄弟ではないかという疑惑が発生し、周囲から結婚を強硬に反対され、チュンサンは静かに彼女のもとを去る...が。

 

冬のソナタのユジンとチュンサン

何が起こるか判らない韓国ドラマは、日本のように週一回放映ではなく、月曜日と火曜日の夜10時から一時間というように、週2回放送されます。(月火ドラマとか水木ドラマと言われます) それに現実感を出すために撮りながら放送するようで、実際に冬のドラマはその冬に撮影されながら放映されたそうです。ですから、放映の日の朝まで撮っていてその日の夕方まで編集してその夜流すという、綱渡りみたいなとてもハードなドラマ制作なんだそうです。(なんともこんなところも韓国らしい)

 

TVドラマは一時間コマーシャルもなく(始まる前と後にまとめてCMを流す。これは良いけど、トイレに行けない)、一気に放映されますが、よく見ていると画面の右上に黄色の丸に15や12と書いた数字が時々現れます。最初はチャンネルの数字かと思っていたのですが、どうも違う。仮面ライダーのような子供番組の時には7なんてのも出ます。何歳未満視聴自粛の表示でした。

 

で、15や12が出るとき何がアダルトなのか? 女の人や男の人の裸が出るのかと思ったら、そんなことはない。アフリカの現地女性がオッパイぺろりで食事する風景や、ニューギニアの男性が股間の何をブラブラなど世界紀行ものは現実に忠実に放映することはありますが、韓国では、日本のテレビのように始終、セクシーなお尻やオッパイの本物が出たりはしません。ポルノ規制は日本の30年くらい前でしょうか。雑誌も上までです。ヘヤ―論争などはまだ起きていませんが、インターネットではご存知のように国境がありませんから、見たい放題なんですが...

 

で、15の規制はどのくらいか? 男女が服を着たまま抱擁するくらいで黄色丸に15が出るようです。12は『キス』という言葉が台詞の中にあるだけで、出たのを見たことがありました。7にいたっては何が規制なのかさっぱり判らん。たぶん、『おまえの母ちゃん出べそ』みたいな言葉規制でしょうかね。でも子供用TV番組に黄色丸7なんか出すな、と私は言いたい。

 

で、黄色丸19が出っ放しのTVドラマ?を私は知っている。当社の工場がある天安(チョナン)市はソウルから急行列車でちょうど1時間の距離なので日帰り出張者が多く、58万人の都市なのにまともなホテルがありません。それでどうしても泊まる時は、昔は逆さクラゲ(これはお風呂があるという意味)のマーク付きの木賃宿のような旅館に泊まったものです。今はラブホテルのようなモーテルが乱立しています。こちらは設備も最新式でインターネットやEメールが出来るパソコン、カラオケ完備の部屋もあります。ベッドが廻ったり、お風呂がガラス張りだったりして、一泊5W(約5千円)前後、ご休憩は25Wから。

 

このようなホテルに置いてあるテレビは普通有線放送になっています。NHKの国際放送が映ったりしますが、お客さんが主に見るのは、Sチャンネルです。SチャンネルのSはご想像のとおりS**ですね。(SIXではないです、念のため) このチャンネルは一日中アダルトビデオを放映しています。韓国オリジナルばかりですから、日本のものと少々違いがあります。まず、昔の日活ロマンポルノのようにエッチ映画ですが、ちゃんと筋があります。

 

私が見た中でなかなか秀逸だったのは、ある女主人が賄っている釣宿のお話で、そこへアベックや学生グループ、中年男性が泊まりに来ます。昼は皆釣に行くのですが、夜になるといろいろな組み合わせで男女の何があります。そこの女主人もなかなか男好きするタイプで男性客が次から次から誘ってきます。夕飯はいつも客が全員集まって、食堂で焼肉を食べるのですが、昨夜女主人といたしていた男性客がいません。

 

『この肉はなんだろう? 牛とも豚とも違うようだけど。

でも、うまいなぁ』

この男性客も今夜は女主人を狙っているようです。

深夜になると女主人が調理場の奥で包丁を研いでいて...

(ひぇー)

 


             Sチャンネルな二人

 

韓国のアダルトビデオに登場する女優さんは皆、髪が長いようです。ロングヘヤ―の方が美人に見えるのもあるのでしょうが、そこはアダルトなこと、ちゃんとした理由があります。先ほどお話したように韓国の性的表現規制はかなり厳しいわけで、昔のロマンポルノ映画のように、男の人と女の人が裸で抱き合い始めると、ロウソクの灯やバラの花瓶なんかで一番みたいところがうまく隠れるようにします。また、男女が何を始める時でもすぐに真っ裸にはなりません。上は脱ぐんですが、下のパンツとパンティーはなかなか脱ぎません。かれこれ穿いたまま愛し合います。

 

いよいよ本番の時も、日本のビデオのように無粋なモザイクはかかりません。その代わりとてもうまく大事なところを隠します。笑ったのは、体位が何故か松葉***という形が多いことです。これはやはりうまく隠すためなんですね。これを見て育った?韓国の若い男性女性達は何らかの影響を受けずに済まない、と私はまじめに心配するのでした。(パンツ穿いたまま新婚初夜を過ごす新婚さんとか)

 

で、アダルトビデオの女優さんは殿方の万年筆に顔を近づけて、その長い髪の毛でうまく隠しながら演技するんですな。近頃は髪の長い男優さんまで登場するようになりました。これは女優さんの逆バージョンですね。日本のビデオの影響か? 看護婦姿やスチュワーデス姿など制服ものも増えてきました。(男のスケベ度は世界共通です)

 


彼女も髪が長いですが、『夏の香り』のヒロインです。

 

ユン・ソクホ監督のKBSドラマは、『秋の童話』、『冬のソナタ』を終了し、今『夏の香り』を映っています。『秋の童話』では赤ん坊取替え事件で人生を替えられた、女性二人の恋の行方。『冬のソナタ』では記憶喪失で再会した、初恋の男性との二度目の恋の行方。現在放送中の『夏の香り』は、事故で亡くなった女性の心臓を移植されたヒロインが、元の心臓の持ち主の恋人に偶然山で出会ってからの恋の行方。全く知らない彼なのに心臓が勝手にドキドキするという、『パラサイト・イブ』のような怖くて甘いラブストーリーです。(今家内がハマッテいて、月曜日と火曜日の夜10時はテレビの前です)

 

秋、冬、夏と製作されたユン監督の恋愛ドラマシリーズは、春でシリーズ完結になるのですが、今度はどんな題名でしょうね。

『春のはるさめ』いややっぱり、『春の春巻き』(そのままやんけ! 文才ないなぁ)、恋より食欲のオジでした。

 

それでは、何が起こるか判らない韓国ドラマより、もっと何が起こるか判らない朝鮮半島のディープでアダルトなお話しは、次の機会にしましょう。

それではお元気で。

 

            ソウルより 蒲谷敏彦


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