ワインとヨット 岡 本 和 憲

 考えるとヨットやワインと関わりを持つようになってからもう20年以上たってしまいました。

最初は若いかわいい女の子にもてるかもしれないという淡い期待で始めたヨットでしたが、

レースをするようになってからワインの消費量は増えるものの、一切お姉さんとは縁の無い世界に浸っています。

ヨットレースに参加すると何故かお酒を飲みます。

シビアなレースではレース中には飲みませんが、レース後には必ず飲みます。

成績が良ければ最高にうまい酒になり、満足いかない時にはやけ酒になります。

コルムセイリングチーム レース終了後にクルー(コルムセイリングチーム)とワインを楽しむ。

 クルーの国籍は、フランス人を中心にイギリス、アイルランド、 オーストラリア、日本と多彩で皆それぞれ強い個性や こだわりがあり、楽しい体験でした。

 ヨットは風で走るわけですからとてもいい加減な乗り物です。

ワインも基本的にはいいかげんなお酒だと私は思っています。

大抵のお酒は好きで、焼酎でもマールでもグラッパでも何でも飲みます。

きっと単なる酒好きのおやじなんだと思います。

ワインも単にその選択肢のひとつですが、まずぶどうの生産されている地区、ぶどうの種類、ワイン作りの

方法 など非常に種類の多いお酒です。

そのうえ生産年つまりビンテージがますます選択肢を複雑なものにしています。

ヨーロッパの人たちはお酒に付加価値をつける天才だと思います。同じ畑のぶどうを同じ製造法で

作っても作る人によってちがう香りになったり、同じビンテージの同じワインでも保存している条件で

違ったりといいかげんのかたまりです。

 その点日本酒はいさぎよく、いやいさぎ良すぎる気がします。

でも、すごくうさん臭くても、何度もだまされても、裏切られても、そのいいかげん

さから抜けられなくなることがたびたびあります。

それが私のワインです。
ワイト島のマリーナ チャネルレースのスタート
 
↑カウズウイークでのチャネルレース(ワイト島一周レース)スタート風景

←マリーナに浮かぶMproject(手前の黒マスト艇)

 ボルドーを飲んでいると、ブルゴーニュが飲みたくなり、ブルゴーニュを飲んでいるとやっぱりボルドーの

安定した雰囲気が欲しくなり、時にはチリや南アフリカにも浮気する。

絶対やめられない、やめる気も無い。

 一昨年イギリスのヨットレースに参加しました。私のチームはフランス人10人、イギリス(アイルランド)人2人、

オーストラリア人1人、日本人2人で、3週間にわたってレース三昧の生活を送りました。

世界のトップレーサーをクルーにシビアなレースでぼろぼろになりましたが、各レースの後には必ず

ほんとにいっぱいワインを飲みました。
シャンペンバー
 アドミラルカップスポンサーのCHANPAGN MUMMのシャンパンバーでレース後の余韻を楽しむ。
至福の一杯!!

ワイト島周辺のマリーナからレース海面に向かうところ。
フェリーボートもヨットも共存している様子で、フェリーも警笛を鳴らしたりすることもありません。

安いワインや高いワインを関係なく飲みました。

今になって思うと、飲む状況がワインをよりおいしくしてくれたような気がします。

何を飲むかも大切ですが、どんな時にワインを飲むかが私には大切です。
優勝カップ
カウズレースウイークのBAHSHEBA CUP RACEに優勝
新聞記事