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「鼻の日」特別企画2008
この企画は2008年8月7日(鼻の日)にちなんで松山耳鼻咽喉科会が愛媛県中予地方の市民の皆様を対象にメールでの無料医療相談を行ったものです。質問の皆様には予め質疑応答をHPに掲載することのご了承を頂いています。質問者・返答者ともに特定できないように配慮しました。ご了承ください。最下段に公示した応募の要領等を添附しています。

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2008年8月1日(金)〜8月10日(日)
「鼻の日」インターネット医療相談
松山耳鼻咽喉科会
相談 1 後鼻漏
相談 2 鼻血
相談 3 難聴
相談 4 慢性扁桃炎
相談 5 耳鳴り、扁桃肥大
相談 6 副鼻腔炎と耳管狭窄症
相談 7 鼻づまり
相談 8 嗅覚障害
相談 9 大きな音が苦手(耳栓に関して)
相談10 チュービングに関して
相談11 難治性アレルギー性鼻炎
相談12 喉の分泌物(痰?)

相談1 後鼻漏
幼少時より耳鼻科系に弱く、よく耳鼻科に通っておりました。中学生の時に鼻茸除去手術を、27歳ころ副鼻腔炎手術(大学病院にて)をうけ、鼻の状態は一時的によくなりましたが、後鼻漏が治らず現在に至っております。今お世話になっております開業耳鼻科医は今の私の鼻の状態は決して手術を受けなければいけない状態ではないが粘膜が人より弱いため分泌物のでている場所が後ろに流れやすいところから分泌しているためとおっしゃいます。今現在も週に1度の割合で通院して投薬治療を受けておりますが、なかなか喉に流れるものを取り除くことができないのです。耳鼻科医は、続けることで良くなりますとはおっしゃいますがもう何年もこの状態です。その後鼻漏のせいで、口臭などもあるようです。どうしたら良くなりますでしょうか?
松山耳鼻咽喉科会 返信

後鼻漏(こうびろう)は気にしだすととても気になる症状であり、副鼻腔炎の色々な症状の中でも一番しつこく、厄介な症状の一つです。その量や粘度によっては、実際に病的に多い場合も勿論ありますが、それほど沢山でなくても気になってしまうこともままあります。(口臭も少し似た面があります。)治療は現在の薬が基本となりますが、ハナ風邪交じりのときは抗菌剤を加えたり、体質的にアレルギーがあったりすれば抗アレルギー剤を併用したりします。 「分泌物のでている場所が後ろに流れやすいところから分泌している」とのことで多分、眼と眼の間、奥の空間の部位(篩骨洞)からの分泌と思います。手術を受けられてはいますが、その病変が再発したか、または炎症が残っているか、の可能性があります。その診断は今時ですと通常のレントゲン検査より、やはりCT画像などの方が診断精度が高く、一般開業医では診断に限界があるかも知れません。「大学病院での手術を受け」られたということで、愛媛大学で手術をなさったのであれば、当時のカルテ、手術記録、画像などが残っており、診断するときに前のデータと比較することもできます。大学病院で再度診断を受けると良いと思います。

 

相談2 鼻血
 今年の3月に在宅酸素療法をはじめてから、だいたい月に1回は鼻血が出て困っています。。右の鼻だけなのですが、そんなにおくまでチューブを入れるわけでもないのにと不思議です。こういった事はよくある事なのか、それとも使用方法として自分でもっと気をつけるべきことがあるのかということが知りたいです。
松山耳鼻咽喉科会 返信

今年の3月に在宅酸素療法をはじめられてから鼻出血が続くようですが、酸素を吸入されることによって鼻の中の粘膜は乾燥しやすくなりがちで粘膜の表面が炎症を起こしやすくなります。そのため、鼻出血が起こることは珍しいことではありません。吸入酸素の湿度を高める工夫で症状が軽減されることもありますので、担当医にご相談ください。もちろん、在宅酸素療法とは関係なく他の疾患が潜んでいる可能性も否定できません。また吸入酸素の湿度を高めるだけでは症状が軽快せず、投薬等が必要なケースもあります。できれば耳鼻科専門医の診察を受けられてはいかがでしょうか。

 

相談3 難聴
左耳は10年前よりおたふく風邪のため全く聞こえない状態で、右耳は4、5年前からメニエルや遅発性内リンパ水腫に罹患しており、右耳は補聴器をつけて生活しています。耳鳴り、音割れがあるため聞こえずらい状況です。聞こえとしては、平均60dBで125,250,500,4000は70dBですが、会話は割れて聞こえるため聞き取れません。現在、ステロイド剤を内服していて、30mgから徐々に量を減らしてますが、15mgくらいになると聞こえが悪くなります。ステロイドは内服し始めて1ヶ月たちます。高圧酸素治療は、肺気腫のためできないといわれました。中耳腔注入法はリスクがあるといわれましたが、どうなのでしょうか。ステロイドは内服を続けていっても聴力が上がらなくなっていくのでしょうか。また、左耳に人工内耳をつけることはできないのでしょうか?
松山耳鼻咽喉科会 返信

左耳の聾、右耳のメニエールまたは(対側型)遅発性内リンパ水腫ということで、とてもお困りのことと思います。ご質問にはめまいのことは書かれていませんが、病名からはめまいの症状もあるものとして回答させていただきます。ご質問を整理させて頂くと、1.中耳腔注入法のリスクについて、2.ステロイド治療の効果と今後の聴力について、3.左耳への人工内耳の適否について、ということになりますでしょうか。
 まず中耳腔注入法についてです。注入薬剤としてはステロイド、局所麻酔薬(キシロカイン)、ゲンタマイシンなどが考えられます。一般論として、鼓室内注入療法は点滴注射など全身的に投与する場合と比較すると、お薬の投与量が少なくてすむため全身性の副作用のリスクを軽減できると考えられます。しかし耳の中に直接薬液を投与するために耳への副作用リスクは高くなります。ステロイドの鼓室内注入に対しては、本治療を積極的に行っている医師は当然有効であるという報告を出していますが、一方ではその治療効果を疑問視する報告もあり、今のところは国内でも国外でも治療の本流とは言えません。キシロカイン注入は耳鳴りに対してある程度の有効性は認められています。ただ効果持続時間が短いこと、注入後しばらく眩暈を伴うことが多いため通常入院が必要なこと、難聴への治療効果がないことなどから、ご相談者様の治療には今の病状では不向きかと思われます。ゲンタマイシン注入療法は、高度難聴のある耳がめまいや耳鳴りの原因となっている場合に行われます。それはこの治療法は聴力を犠牲にする代わりにめまいや耳鳴りを軽減させる治療だからです。今回ご相談の場合は、聞こえている方の耳がめまいを起こしていると考えられますので、この治療法も現在はまだ対象外です。
 次に聴力の今後の見通しについてです。一般的にはメニエール病や遅発性内リンパ水腫では、ステロイド投与などの治療を継続していても長期的にみると徐々に聞こえは悪化していくといわれています。ただし、難聴の進み方は個人差がかなりあり、20年・30年たってもほとんど悪化せずに経過する人もいます。ご相談者様の場合、聴力がどのように推移するのかは正直なところ分かりませんが、元来正常だった聴力が発症4−5年で平均60dBになっているとすると将来的には少し厳しいかも知れません。
 最後に人工内耳についてですが、左耳がおたふく風邪によって聾になったのであれば、将来人工内耳が有効である可能性は十分にあります。ただし、音の聞こえ方は今までと全く異なるものになりますので、現在のように右耳が60dB聞こえている段階ではまだ手術対象にはならないでしょう。将来もし右耳の難聴がもっと高度になり補聴器を使っても会話ができなくなってきたら、愛媛県では愛媛大学付属病院の耳鼻咽喉科外来に相談されるのがいいでしょう。

 

相談4 慢性扁桃炎

ずいぶん前からですが、のどから異物が何かのタイミングででることがあり、のどの奥を自分でみてみると、左右の扁桃腺のあたりだと思うのですが、穴がありそこにゴマ粒〜ご飯粒くらいの白い物がたくさんつまっていました。それが何かのきっかけで時々口の中に出てくるみたいで、におい(膿のにおいのような、とても臭いです)もあり、気持ち悪く、それがたくさんたまると、耳の奥がかゆくなる感じがしたり、口を閉じて鼻から息を出すとそのにおいがしてとても辛いです。最近では口臭の原因にもなるのではないかとも思い、のどの穴を綿棒で掃除をするとたくさん白い異物が出てくるので、自分で取り除いてるのですが、毎回血も出たりするので、一度受診をしたほうが良いか悩んでます。どうしてのどの穴にこのような白い異物がたまるのですか?また、治療方法はなにかありますか?教えてください。

松山耳鼻咽喉科会 返信

扁桃腺に白いものが着いていたのならば、膿栓(のうせん)と思われます。扁桃腺は病原菌を食べる細胞が集まってできており、外界からの病原菌の進入を防ぐ免疫装置の働きをしています。そのため普段から軽い炎症反応があり、病原菌と反応した後の遺残物が膿栓として扁桃腺の中から出てきます。ただし、普段からこの炎症反応が強いと、軽い痛みを感じたり、微熱がでたり、膿栓が口臭の原因となります。また炎症反応が間接的に全身に広がり、腎臓など他の部位で悪影響を及ぼす原因となることもあります。このような状態が続くと慢性扁桃炎と判断します。また、体質的に扁桃腺の表面がへこんだりしていびつな形をしていれば、膿栓がより着きやすくなります。時に膿栓が付着する程度で特段の症状がなければ定期的な治療は必要ありませんが、先に述べたような慢性扁桃炎の状態が続くのであれば、その程度に応じて、うがいで経過をみたり、耳鼻咽喉科外来で局所処置を行ったり、内服薬で炎症を軽減させたりします。また症状が長期的で反応が強い場合には、扁桃腺自体を取ってしまう手術も考慮します。耳鼻咽喉科を受診して、普段の状態やひどくなった状態を診察してもらえば、どの程度の治療が必要か判断してもらえると思います。

 

相談5 耳鳴り、扁桃肥大

昨年夏にぎっくり腰になりました。病院では「ヘルニア」と診断されました。そしてそれから数日して、左耳からだけ耳鳴りがするようになりました。初めは、夜静かになると、虫の羽音のような感じの音と共に震えがありました。気分が悪くなるほどの音が何日か続きました。少しずつ音は変化していき、今は時々やはり夜静かになると、規則正しく低音でこもったような音がします。又、時々左右関わらず耳がこもったような感じになります。(飛行機等に乗った時、気圧の変化で耳が詰まるような感じです)ひどくはないものの、腰痛は続いています。私には関係があるように思えるのですが。時々でも耳鳴りが続けば受診したほうがイイでしょうか?他の病気の可能性などもあるのでしょうか。
 それと4歳の子どものことですが、風邪などで小児科を受診した際に、何人かの先生に「扁桃腺が大きめ」と言われました。扁桃腺が大きいと、風邪をひきやすかったりするのですか?何か問題がありますか?気をつけなければいけないことがありますか?

松山耳鼻咽喉科会 返信

ヘルニアと同時期に発生した耳鳴り(耳鳴)についてのご相談ですが、耳鳴は、聞こえの通り道(中耳・蝸牛・聴神経など)の障害や高血圧・ストレスなど様々な原因で生じます。ヘルニアによる腰の症状が強かった場合にストレスを生じ、それが耳鳴の原因となる可能性は否定しきれませんが、ご相談の文面によると腰痛の程度にかかわらず耳の症状が続いているようですので、ヘルニアと耳鳴の関連は乏しいように思われます。耳鳴以外の耳の症状も訴えられていますのでむしろ聞こえの通り道に障害がある可能性が高いと思われます。その場合には聞こえの低下がおきている可能性もあります。病気によっては将来めまいやさらなる聞こえの低下を生じたり、腫瘍性のものであれば顔面神経の麻痺などの重い症状がでてくることもありますので、ぜひ早めに耳鼻咽喉科専門医への受診をお勧めします。
 
また、お子さんのご相談についてですが、扁桃腺が大きいこと自体には問題ありませんが、そのために障害が起きた場合に治療の対象になります。具体的には、扁桃腺が腫れて高い熱がよく出る場合。扁桃腺が大きいために食事が飲み込みにくく、食事時間が著しく長かったり体重が増えにくい場合。また口からの呼吸がしにくくなりいびきや睡眠時の無呼吸がある場合などがそれにあたります。扁桃腺の状態をみての判断になりますが、程度によっては手術治療の適応となることもあります。子供さんも一度、耳鼻咽喉科専門医への受診をお勧め致します。

 

相談6 副鼻腔炎と耳管狭窄症

下を向くと、水が鼻に入った時の様に鼻が痛くなるのは何故でしょうか?数ヶ月前から続いています。あと、片方の耳が時々、気圧の変化で聞こえが悪くなるような状態になります。これも何故なのでしょうか?

松山耳鼻咽喉科会 返信

1)コップの中に水が入っています。コップを傾けると重心が前方に移動します。このように、器に水様物質が入っていれば、器を傾けると重さも移動します。鼻の周辺は空洞がたくさんあります。これらは副鼻腔と呼ばれています。鼻内の炎症がこの副鼻腔にまで広がり、鼻水(膿汁)を貯めた状態が副鼻腔炎です。頭を下げれば鼻水(膿汁)が移動して鼻が痛いと感じます。この方の症状は副鼻腔炎によるものと考えられます。レントゲン検査で診断可能です。内服薬で治すことができます。もし、副鼻腔炎でなければ、限局的な鼻内の炎症やアレルギー性鼻炎かも知れません。
2)高山を登山する人の写真をよくみることがあります。その顔はむくんでいます。気圧が低くなると血管にかかる圧力が弱くなり、血管内の成分が血管から漏出してきます。これが気圧の変化によるむくみの原因です。低気圧が通ったり、丘を越えたりするだけで、感受性の高い人の血管内外も同じような現象が生じています。耳と鼻は耳管という管でつながっています。これは、鼓室(鼓膜より奥の空間、耳小骨が入っている。耳管で鼻の奥とつながっている)が気圧の変化に対応するために必要な管です。音を感じる鼓膜が伸びすぎたり、縮みすぎるのを防いでいます。この管が自由に開閉できなくなると気圧の変化で鼓膜に異常な圧力がかかり、鼓膜が自由に振動できなくなります。つまり耳管がつまれば、聴力はわずかに低下するのです。もともと耳管の機能の悪い人は、気圧のわずかな変化で耳管がむくみ、さらに耳管が狭くなります。このような状態の耳管を耳管狭窄症といいます。通気療法や薬で治療します。また、気圧の急激な変化により、耳に圧迫を受けることがあります。風船を考えてみましょう。手から離した風船は上空にいくとどんどん膨らみます。上空で膨らんでいた風船を下に下ろすとしぼみます。鼓室内を風船と思ってください。飛行機に乗って上昇すると、鼓室内の空気は膨れます。このときは、耳管も広がるので直ぐに膨れた空気は抜けます。したがって耳の痛みはひどくはありません。飛行機が下降するときは鼓室内の空気はしぼみます。耳管内も口をすぼめるようにしぼみ、耳管は閉じてしまいます。その結果、鼓膜が凹状態に引っ張られるため耳が痛くなります。ひどいときは中耳腔に滲出液が貯まるようになります。特に耳管の弱い人、鼻かぜをひいている人はこのようになりやすいのです。これを航空性中耳炎と呼ぶこともあります。耳管の弱い人は、わずかの気圧の変化でこのような現象が生じ、日常的に耳に痛みを感じることもあります。

 

相談7 鼻づまり

2年程前に風邪を引いてから、鼻詰まりが続いております。右の鼻詰まりです。鼻と口の境目にいつも鼻水(堅め?)で栓をしている感じが続きます。そのため、食事の時に息苦しくなり、あまり噛まずに飲み込んでしまい喉に詰まりそうになります。(特に握り寿司の時はほとんど飲み込む状態です)普段も鼻詰まりでスッキリしません。寝ている時もイビキをかいたり、口を開けて寝ているのか喉も痛くなります。耳鼻科を2件受診したのですが、1件目は「アレルギー」、2件目は 「炎症」と診断されました。(レントゲンもとりました)1件目では、アレルギーの錠剤と鼻スプレーを処方されました。2件目では、抗生物質を処方されました。どちらも症状に何の改善も見られませんでした。持病はスギ花粉のアレルギーと高血圧(95−135)があります。総合病院に行って診察していただけば、何か改善の手がかりがつかめるのでしょうか?

松山耳鼻咽喉科会 返信

鼻づまりはアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症の他に、鼻副鼻腔腫瘍などでもでてきます。もし今まで鼻の内視鏡検査を受けたことがないようでしたら、現在かかっておられます担当医と相談して、一度内視鏡検査を受けられたらよいと思います。鼻内を詳しく観察してもらえます。総合病院ではCTやMRIなどで鼻副鼻腔を詳しく調べることができます。これらの画像診断はレントゲンに比べると得られる情報が多く、病変の範囲、程度を把握したり、手術適応があるかどうか判断するのに用いられます。精査を希望される場合は担当医に紹介状を書いてもらって受診されるのがよいかと思います。

 

相談8 嗅覚障害

いつの間にか、臭いがわからなくなりました。回復の方法がありますか。

松山耳鼻咽喉科会 返信

においの神経、嗅覚神経は鼻の前上部で眼と眼の間の空間、副鼻腔の嗅裂という部位に存在、分布します。嗅覚障害は1)鼻づまりによって、においの分子が嗅覚神経に届かなくなった場合、2)嗅覚神経、嗅細胞自体がだめになった場合、3)その両者が混ざった障害が起こった場合、4)嗅覚中枢やその経路が障害された場合に起こります。原因としては1)は鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症など、2)は副鼻腔炎、風邪のウイルスや、薬剤など、4)は頭部外傷や脳腫瘍などがあります。ご質問の方は「いつの間にか、臭いがわからなくなって」とのことですので、はっきりとした原因はわからないことになります。においは全くわかりませんか?強いにおいならわかるのでしょうか? 鼻の通り具合は如何でしょうか?味覚は如何でしょうか?風味障害と称して嗅・味覚同時に障害される状態もあります。ご高齢のようですが、糖尿病やその他の病気はありませんでしょうか? また薬などは余り服用されていませんでしょうか?嗅覚や味覚は目や耳ほどには年齢で衰えることは少ないと考えられています。「年の功」「加齢変化」と考えずに一度原因を見つけるために耳鼻咽喉科を訪れてみてください。「回復の方法」が見つかるかも知れません。

 

相談9 大きな音が苦手(耳栓に関して)

小学6年生の男子ですが、小さい時から打ち上げ花火、和太鼓など大きな音、特に運動会のスタートのピストル音が苦手で、市販の耳栓を使用した事もあります。しかし、耳栓の使用を許可してもらえなかった4年生の時は両耳を押さえひたすら耐えていました。また運動会があります。耳栓を使用するつもりです。耳鼻科で本人に合った耳栓を作る事はできないのでしょうか。そのほうが安心して運動会に参加できるのではないでしょうか。よろしくお願いします。

松山耳鼻咽喉科会 返信

 大きな音が苦手なお子さんの御相談ですが、一時的に耳栓をされるのが一番合理的な対策だと思います。ご希望の耳栓作成ですが、耳の穴にあわせた耳栓を作る方法はあります。まず耳栓を作成するにあったって耳の穴の型取りをしなくてはいけません。これは耳鼻科医院で作成することになります。型取りをおこなっている医院かどうか確認されてから受診されることをお勧めします。この耳型から作成業者に耳栓作成をお願いして出来上がります。これは本来補聴器を使用する耳に装着するものです。耳に問題のある水泳選手が、耳に水が入らないよう、たまに作成を依頼されることもあるようです。ご質問の回答は以上ですが、この耳栓は片側で作成だけに7000円程度もかかります。作成以前に耳鼻科受診にも費用が必要です。また脱着に時間がかかり着けたり外したりが面倒です。そして作成に10日程度を要します。運動会シーズンだけの使用であれば一般的な防音耳栓で対処できる気もします。やわらかい素材でF−1選手がするように耳の穴にギュッと差し込むだけで十分防音効果はあります。ご検討ください。

 

相談10 チュービングに関して

現在2歳7カ月の幼児ですが、昨年の2月(1歳1カ月の時)に中耳炎をおこして近所のA耳鼻咽喉医院で両耳にパイプを入れました。中耳炎は治癒しましたがパイプはそのままです。その後は、A耳鼻咽喉医院は診察時に泣きわめくのでB耳鼻咽喉医院に転院し、現在も鼻や耳の病気はB耳鼻咽喉医院を利用しています。B耳鼻咽喉医院でも今年の5月頃に中耳炎の治療をして頂きましたが、「今度完治した時点でパイプを抽出しましょう」と言われましたが、現在も抽出しないでそのままになっています。@パイプは早く抽出する必要がありますかA抽出しないでも耳に影響はないでしょうか。(現時点で、耳の聞こえは正常です)

松山耳鼻咽喉科会 返信

長期間続く中耳炎や一度治ってもすぐ再発するような治りにくい中耳炎に対して、持続的な排液や換気を目的として鼓膜に小さなチューブを挿入します。このチューブは通常数か月から2年程度の長期にわたり留置します。留置期間に幅がありますが、これはチューブを入れる前の中耳炎の状態や入れた後の経過により変わってきます。特にチューブを入れた後も時々耳漏(耳だれ)が出るような急性炎症を繰り返している場合は留置期間も長くなります。ご相談のケースも今年の5月に中耳炎が急性憎悪していたのであれば、もうしばらく安定するまで待った方が良いと担当医は判断したのかもしれません。チューブを長期間留置した場合の問題点として、チューブを抜いた後に鼓膜の穴が開いたまま残ってしまうことがあります。大雑把にいうと留置期間が長いほど鼓膜の穴が残る危険度が高くなる傾向にあります。しかしチューブの留置期間が短いほど逆に中耳炎の再発率が高くなります。ですので鼓膜に穴が残ることを恐れるあまり、本来の目的である中耳炎の治療が中途半端になっては本末転倒です。鼓膜に「小さな穴があいていて耳の中(中耳腔)に空気が入っている状態」の方が「穴がなくて耳の中に液体がつまった状態」よりも聞こえや快適性はずっと良いはずです。どうしても鼓膜の穴が塞がらない場合は、小児ではある程度の成長を待って鼓膜の閉鎖術を行います。状態が良ければ外来でできることも少なくない手術ですので、まずはしっかり中耳炎を治すことに主眼を置くことが大事です。ただ、ご相談の場合はすでにチューブを入れて1年余りを経過しているようですので、一度担当医に抜去時期についてお尋ねされてみるのもいいのではないでしょうか?

 
相談11 難治性のアレルギー性鼻炎

4歳の頃からずっと重度のアレルギー性鼻炎(当時は5段階中4)で悩まされ続けています。アレルギー反応を調べたところ、ハウスダストからヨモギ、スギ、花粉など全てに反応を示し、1年中1日中鼻が休まる時はありません。慢性的なものです。毎日どこへ行くにもティッシュの箱を持ち運び、平均1日約1箱、ひどいときは2箱は使います。特に朝方はひどく、くしゃみ、鼻水、常に止まりません。どうにか治そうと耳鼻科に通院し、5年近く減感作療法、毎日何種類もの薬を服用、漢方なども経験しました。毎日毎日、欠かさず続けましたが、結局改善されませんでした。薬を飲んでも自分で楽になったと感じることがなく、鼻のスプレーをするとその刺激ですぐくしゃみが出ます。医師にも断念され、ずっと通い続けていたところをやめ、病院を変えたりしました。評判がいいところから3つぐらい行ってみましたが、どこも診察に不審な点があり(肺炎までいったレントゲン写真を見て異常なしと言われた・誤った薬を処方され病気が長引き死にかけた)、それから耳鼻科には通わなくなりました。小学生までは、鼻から菌が入り高熱が出て、よく色々な病気にかかり学校を休みがちでした。今現在、鼻から病気にかかることは減りましたが、日常生活において苦痛に思うことがしばしばあります。色々な人に「風邪ですか?」と尋ねられ、接客のアルバイト先では不潔がられ、作業をするにも鼻水が垂れるので鼻をかみながらになり、集中力に欠きます。勉強もそうです。授業中、みんなの注目を集めます。長年一緒に暮らしてきて、一番苦しみをわかってくれているはずの親からもうるさい、眠れないと言われ、何とも言えない気持ちになりました。私自身も集団で宿泊する際など、鼻のことで常に他人に気を遣って眠れません。鼻がひどすぎて、眠れない日もあります。今までは、学生という立場でしたが、来年から社会人として働くことになります。それも接客業です。朝からなので今のままでは必ず仕事に支障をきたします。相手と対話しながら、くしゃみや鼻水が出る、仕事の作業はなかなか進まない、このままでは絶対嫌です!私自身、しんどいです。大きくなればよくなると思っていましたが、大学生になり、高校のときよりひどくなったように感じます。アレルギー性鼻炎は治るものではないけれど、日常生活に支障をきたさない程度に何とか社会人になるまでによくなりたいのです。私はどうすればいいのでしょうか?効果的な治療法はありますか?今考えているものにレーザー治療がありますが、知り合いがやったけれど何も効果なかったという話を聞いたり、一時的にはよくなるけれど、元に戻るという話も聞きます。サイトで検索しましたが、松山で有名な病院も見つかりません。新しいところに通うのも、以前の経験から抵抗があります。医療機関の紹介はしないと記載していますが、もしよければどこかいいところを教えていただきたいです。

松山耳鼻咽喉科会 返信

 長年に渡り通院しても改善されない、死にかけるまでの状況になったとのことなど、複数の耳鼻咽喉科での治療に不信感を抱かれたとのことで、我々耳鼻咽喉科医の力が足りず、大変恐縮しております。文面からはご相談者様の体質は、多種の抗体が出来やすいという意味でのアレルギー体質が強いと思われます。また、アレルギー体質が強い方は、一般的な鼻粘膜の過敏症も強くなる傾向もありますので、寒冷刺激などの温度変化や、体調不良時の自律神経失調などでも症状が強くなっている可能性が高いと思われます。小児期に高熱が出やすかったとのことで、扁桃腺などの免疫器官も弱いのかも知れません。小児期は成長期であり、ハウスダストアレルギーが就学前に強かったところに、小学生の時期より花粉症が強くなってきたとも思われます。アレルギー体質や過敏症体質は、体質として完全に改善することは難しいのですが、アレルギー反応を鎮める治療により少しでも快適な生活を送って頂ければと思います。漢方薬も含め薬物療法は基本的には治療中のアレルギー反応は抑えますので、治療中に徐々にでも症状が改善して欲しい治療法です。減感作療法は、ターゲットとなる個別のアレルギーの原因物質に対して「体が慣れてくる」効果を期待するもので、作用機序もまだまだ厳密には解明されていません。残念ながらご相談者様の体質に対しては効果が十分ではなかったと思われます。このような経緯を踏まえると、体質自体が完全に改善されるのは難しいとしても、改めてアレルギーの原因物質を避ける環境改善を心がけたり、薬物治療を上手に利用したりして、これからの社会人としての生活の質が高められればと思います。お尋ねのレーザー治療ですが、鼻の中の最も反応しやすい部分の粘膜を軽く「焼いて」反応を鎮めるもので、1回の治療で効果が数年続く場合も、数カ月で効果が不十分と感じる場合もあります。ただし、特段の副作用はありませんので効果の限界を納得された上で、試してもよい治療法だと考えます。また、後鼻神経切断術という鼻の中の最も反応する部分の粘膜の神経を切断する治療法が、まだ全国的にも治療施設は限られてますが、普及しつつあります。今後、検討しても良い治療法だと思います。このようなことを踏まえて、ご相談者様が信頼できる医師にこれまでの治療の経過を伝えた上で、十分に相談しながら、どのレベルまでの治療を行うのかを決めていくのが最善と考えます。当医療相談は、特定の医療機関は提示しない方針で行っております。何卒、ご理解の程お願い致します。最後になりますが、若者がかかりやすいマイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎は、初期には胸部レントゲン検査では異常が発見できないことがままあります。これまでのご相談者様の治療とは関係なかったかもしれませんが、消炎鎮痛解熱剤などへの薬剤過敏症は大人になって発症する場合が多く、抗生物質などへの薬剤アレルギーは何回か服用する期会があった後に発症してきますので、今後の治療も慎重にする必要がでてくるかも知れません。これからの治療では、ご相談者様と我々耳鼻咽喉科医がよく連絡を取り合って、よりよい信頼関係が築ければ幸です。再生医療や遺伝子治療などの先端医学は日進月歩で進んでいます。そう遠くない将来に、体質が根本的に改善される治療法が開発されることを我々も切望しています。

 
相談12 喉の分泌物(痰?)

何年か前から朝起きると咽に白く無臭でねばった『たん』か鼻水か分りませんが咽にへばり付いていてうがいをすれば少し楽になります。6月後期頃、喉に圧迫感で唾を飲み込むのがつらくなり病院を転々とし(夕方声が出にくくなります)MRA、鼻からスコープも入れて見ていただいても何事もないとの事です。でも実際に現在も以前程ではないのですが苦しいです。薬はエンピナースPを飲んでいます。夏風邪を引きせきを激しくした後、気道がしまり数秒呼吸が出来なくなり死に掛けました。

松山耳鼻咽喉科会 返信

ご質問によると数年前から起床時にのどに分泌物があるということですが、一般的には上気道(鼻など)からのものと下気道(肺・気管支など)からのものが考えられます。前者は慢性副鼻腔炎(蓄膿症)などの病気で鼻に炎症がおこった場合に分泌物を生じ夜間に鼻の後側からのどに流れ込み(後鼻漏)、起床時にのどの不快感や咳を生じることがあります。ただ、各施設にて鼻咽腔ファイバーやMRI 検査にて異常を認めなかったとのことですので、この可能性は少ないと思います。ご相談文にのどの圧迫感や呼吸困難の症状が出たとの記述がありますので、後者の気管や肺の病気(喘息や慢性気管支炎など)が原因の分泌物であるように思います。ただ呼吸器が専門の先生にも受診されておられますので、すでに異常がないと診断されているようでしたら、呼吸困難などの呼吸器の症状の強いときに受診されてみては如何でしょうか。これら以外に考えられるのは、分泌物自体は正常の範囲内のものであるものの、のどの知覚に異常を生じて現在の症状がおきている場合があります。原因となる疾患としては胃酸が食道を越えのどまであがってくる逆流性咽喉頭炎や心因性のものなど様々なものがありますので、呼吸器科で診断がつかない場合は再度、耳鼻咽喉科専門医に受診されることをお勧めします。




「鼻の日」インターネット医療相談のご案内
 当会では昨年度に引き続き、鼻の日(8月7日)にちなんで、愛媛県中予地方の市民の皆様を対象にメールでの無料医療相談を行います。
 本年度の相談では、鼻の分野だけでなく耳鼻咽喉科の全般的な相談も受け付けます。鼻や耳、のどに関するお悩みがあれば、以下の実施要綱をご了解の上、メールをお寄せ下さい。耳鼻咽喉科専門医である当会会員がお答えします。


実施要綱

、相談受付期間 8月1日(水)〜10日(金)
2、相談内容は、鼻を含めた耳鼻咽喉科に関する心配事や病気です

3、相談は、愛媛県中予地方にお住まいの方とさせて頂きます。
4、受付期間中に公開されるメールアドレス 00@00 まで相談メールをお送り下さい。
(公開は終了しました)

          
(相談の終了に伴い、クリックは無効です)
5、相談メールには、簡単な住所、氏名、年令、性別、メールアドレス、この医療相談を知ったメディアを記入してください。
  記入されてない場合には当会より確認のメールをお送りするとともに、
  場合によっては相談にお答え致しかねる場合があります。
6、返答には1週間程度のお時間を頂く場合がございます。
  そのため、緊急性を有したり即応性を求める相談にはお答え出来ません
7、あくまでメールを介した相談であり、診察する訳ではありませんので、
  返答は一般的なアドバイスとなることをご理解下さい。
8、特定の医療機関の紹介はしません。
9、相談と回答の概要は、プライバシーに配慮し個人を特定できないように改変した上で、

  当会ホームページ上で紹介します。予めご承知下さい。
   

  *携帶電話から発信される場合、着信制限を設定していると当会よりの返信が届かない場合がございます。ご注意下さい。
     携帯電話用ホームページへ

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