１９才の時、口蓋扁桃を切除しましたが、２０代後半から舌扁桃が悪くなり現在に至ります。ひどい時には２ヶ月毎に悪くなり、高熱に悩まされます。いつも気を付けてうがいをしていますが、それでも発症します。入院をした時もあります。舌扁桃は切除できないと言われましたが、本当ですか？１００人中２番目に悪い状態と言われました。このまま、ただうがいで予防するしかないのでしょうか？うがいをしても悪くなるし、仕事にもたびたび差し支えがあります。手術ができれば、切ってしまいたいですが、このままどうしようもないのでしょうか。適切な対処方法を、どうぞよろしくお願いいたします。

　口蓋扁桃は１）極端に大きい時、２）習慣的に高熱を出す原因となっている時、３）病巣感染の可能性がある時、などに手術的に除去します。完全に根っこの部分から除去する場合は「摘出」と言い、部分的に除去する場合は「切除」と言いますが、最近の方法では多くは根っこの部分から完全に除去することが多いので、２）の理由で「摘出」したということで話しを進めます。口蓋扁桃を除去しますとそれによって熱が出ることはなくなりますが、その代償として舌扁桃や周囲の咽頭のリンパなどが炎症を起こすことがあります。通常はそれらの炎症では微熱であったり、いがいが感であったりすることが多く、頻回に高熱が出ることは少ないです。舌扁桃は解剖学的理由により口蓋扁桃のように完全に除去することは困難です。サイズが余りに大きい時や、はっきり熱の原因となっているときはレーザーなどで減量することは可能ですが、実際のところ、手術の長期的効果が不明で、積極的にその部位だけを手術をすることは少ないです。貴方の場合は舌扁桃以外に高熱の原因は考えられないのでしょうか。なかなか原因を同定するのは難しいのだとは思いますが、手術を受けられた病院でより詳しい説明を聞くか、セカンド・オピニオンを聞かれると答えが出るかも知れません。

以前にアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎（蓄膿症）と診断され、５年ほど前からニオイがわからないという御相談ですね。まず、ニオイを感じる仕組みですが、ニオイ成分は気体となり空気中に浮かんでいます。これが鼻の中に吸いこまれます。鼻の中の奥の上のほうにある嗅覚細胞(この周辺を嗅上皮といいます)にこの成分が触れます。そこでニオイ成分の刺激は電気信号として神経に伝達され、すぐ上の大脳の中の嗅球といわれる部分に伝わり、ニオイとして認識されます。嗅覚障害は以下の原因で起こります。
(1)ニオイ成分が嗅上皮まで届かない。(呼吸性嗅覚障害)：アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中ポリープ、鼻中隔湾曲症などで,鼻がつまりニオイ分子が嗅上皮まで到達しない場合です。
(2)嗅上皮の障害（末梢神経性嗅覚障害）：多いのは鼻の奥にある嗅上皮の細胞が感染などの障害を受け機能を失ったもので、ニオイ成分は到達しているのに、その刺激を感じることができない障害です。繊細な神経なので、外傷でも機能を失うことがあります。
(3)嗅上皮から脳までの神経経路、または大脳の障害（中枢性嗅覚障害）：ニオイ成分が嗅上皮に到達し嗅上皮も正常に刺激を感じているのに、嗅上皮から大脳までの神経経路もしくは大脳の障害でニオイが分らない状態です。脳腫瘍や外傷などでおこります。また脳血管障害で起こることもあります。
まれに(４)神経変成疾患、（５）薬剤性嗅覚障害、（６）先天性嗅覚障害などで、障害の起こることもあります。
　お話から御相談者の場合は、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎のため(1)のニオイ分子が嗅上皮まで届かないという可能性が高いようです。いずれにせよ、まず原因をはっきりさせることが重要です。原因がわかればニオイを再び感じることができるかどうか予想がつきます。すべての嗅覚障害が回復できるわけではありませんが、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎のため嗅覚障害が起こっているのであれば回復の可能性は充分にあると思われます。治療は薬物療法や手術が必要になる場合もあります。ぜひ専門医にご相談いただき、適切な治療を受けれられることをお勧めします。傷んだ食品を食べてお腹をこわすことが多くなることと鼻の病気は関係がないと思われます。

４歳娘の難聴について、ご相談させて下さい。２歳のころ、娘が鼻にビーズを詰め、取れなくなり、近所の耳鼻科にかかったところ、中耳炎が発覚し、即切開！と言われましたが、初めてのことだったので躊躇していたら、切開しないと治らないと言われ、泣く泣く切開をしました。それから、お薬と通院で１ヶ月程で完治しました。繰り返すこともなく、３歳５ヶ月の時、保健所で３歳児健診を受けたところ、難聴だと診断されました。再度、耳鼻科で検査をするように言われ、別の耳鼻科にかかりました。そこでも、やはり難聴だと診断され、中耳炎になり切開した経験を伝えると、切開の穴が塞がらず、鼓膜が十分に再生していないのではないか、と言われました。鼓膜の３割くらいの穴だそうです。自然に塞がることはないそうです。それを聞き、切開したことの後悔と、寝耳に水の診断結果で、本当にショックで娘に申し訳なく、悲しい思いをしました。前回の耳鼻科でのことなので、難聴の件をお伝えし、相談した方が良いのでしょうか？あと、通院していたのにも関わらず、鼓膜の穴のことは一言もおっしゃいませんでしたが、お医者様は穴の存在に気付かなかったのでしょうか？今後、どうすれば良いのか分からなく、正直途方に暮れる気持ちです。よろしければ、アドバイス頂ければ有難いです。宜しくお願い致します。

　ご相談のお子さんの病気は滲出生中耳炎と思われます。耳鼻科の病気は治療が長くかかるものが多いのですがこの病気もその一つです。成人になっても治療が必要な場合もあります。
　鼓膜の奧の中耳は、耳管という管で鼻の奥にある上咽頭につながっています。この管の通りが悪くなると中耳炎にかかったり、鼓膜が奧に引き込まれるようになり、これが長引くと滲出生中耳炎を起こしてきます。そのため、中耳への空気の通りをよくすることで病気を治します。空気の通りをよくするため一般的に行われる方法としては以下のものがあります。
１．抗生物質などの薬剤を服用することで分泌物を減らす。
２．鼻側から耳管に空気をいれて耳管の通りをよくする(通気）
３．鼓膜に穴をあけて空気の流れをよくする(鼓膜切開、チュービング）
　お子さんの場合もこれらを組み合わせて治療をされているようですが、数回のチュービングで完治しないようですので、比較的治りにくい状態にあるのではないかと思われます。通気による痛みを気にされていることですし、主治医の先生が奨められているようにチューブを再度入れられるのも良いのではないでしょうか。チューブによる治療効果を高める場合に抜けにくいものを使うこともありますが、鼓膜に穴が残る確率が高くなりますので病状に応じて選択することになります。
　また併せてご質問のアレルギーの治療薬についてですが、ごく一部のものを除いては数年間程度の内服で副作用はほとんどありませんが、治療が長期にわたる場合には漢方薬に変更したり、注射による減感作療法や、レーザー等による鼻内手術をおすすめする場合もあります。
　いずれにせよ患者さん個々の病状により治療方針は変わりますので、現在かかられている先生とよく相談されることが大切と思います。

　子供さんの鼻の症状は恐らくお母さんから受け継いでいるようですね。お母さんも小さいときはこのようではありませんでしたか？そして今は小さいときより少し楽になっていませんか？鼻の病気は飲めば直ぐに治ってしまうという薬はありません。まず、目の前の症状を薬などで改善させましょう。アレルギー性鼻炎は飲み薬、点鼻薬の他、レーザー治療などがありますが、治り方に個人差があります。レーザー治療で劇的によくなる人も時々みかけます。また成長するに従って免疫能が強くなっていくとアレルギー症状は軽くなっていく傾向がみられます。小学低学年の子の激しいアレルギー症状が６年生になって、すっかり良くなったという例も経験したことがあります。
　年齢的に考えると今の治療でいいと思います。飲み薬は何種類もあります。今飲んでいる薬の効果が弱いのかもしれません。薬を変えてもらうのも一つの方法です。鼻の薬は長期服用しても心配することはありません。副鼻腔炎は薬を飲めば数ヶ月で治ることが多いのですが、治りにくいお子さんもいます。また成長に従って免疫能が向上すると副鼻腔炎も治りやすく、またかかりにくくなります。小学低学年までによく見られる副鼻腔炎は高学年になるとかかる人は少なくなります。あと２〜３年もするとお子さんの鼻の症状は少しずつ軽減していくと思いますので、悲観的にならず、この病気と親しく向き合ってあげてください。

　質問の内容からすると10年以上前に鼓膜穿孔を指摘されたようですね。鼓膜穿孔の原因として最も多いのは中耳炎で、そのほかに外傷や気圧の急激な変化によって鼓膜に穴があいてしまうことがあります。ただ、外傷や気圧の急激な変化によるものであればその記憶が残っていると思いますので中耳炎が原因となっている可能性が高いと考えられます。
　鼓膜に穴が開いたままで困る主な症状は耳漏（耳だれ）と難聴になります。お母様にはそういった症状はありませんか？もし今現在も耳漏が出ているようなら、中耳の炎症が耳の奥の内耳にまで広がり耳鳴がしていることも予想されますので、まずは中耳炎に対する治療が必要になってきます。耳鳴と頭痛との関連についてはお話の内容からだけでははっきりとお答えできませんが、中耳炎があるようなら頭痛の原因となっているかもしれません。
　手術については中耳炎の状態によって手術方法が異なります。単純に鼓膜穿孔を閉鎖する手術のみでよいこともありますが、炎症が強い場合には中耳の炎症を取り除いたうえで、鼓膜穿孔や耳小骨（音を伝える骨）の欠損を修復する手術が必要になることもあります。手術により聴力を良くしたり、耳漏を停止させることは可能ですが、残念ながら耳鳴については改善するという保証はできません。いずれにしても耳鳴の原因はさまざまで、加齢による耳鳴なども考えられます。耳鳴も年々ひどくなっているということであれば、まず原因を特定するためにも早めに医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。